見積書で比べるべき 工事の内容、職人の質とは

最近また口コミを頂いたり、このブログの感想を頂いたりすることが多くなってきました。

塗装職人の営業として、多くのお客様の家にお邪魔いたしますが、なかなか考えていることすべては伝えられませんし、お客様から感想を頂く機会というのも決して多くありません。

ですので、こうした感想は本当に力となります。

今回は、弊社のお客様だけでなく、これからご縁を結ぶお客様に向けてのお話です。

日ごろお客様にお話しできない見積りのことや、また職人チームの仕事紹介を通して、見積りに差が出る塗装職人の工事内容について紹介したいと思います。どうぞご覧ください。

塗装職人の立駐機塗装
地下立駐機の見積もり現地調査
目次

相見積もりで比べるべきものとは

最初にお話しするのは、『相見積もり』についてです。

塗装工事を依頼しようと思った際に、さまざまな会社から見積りを取るのはよくあることだと思います。

各社の見積りや、営業からの説明を並べて、家の状態にあった業者を選ぶことは重要です。

また残念ながら、塗装業者というのは玉石混交なところがあります。

先日も、ニュース番組で屋根の修理の訪問販売詐欺のことが取り上げられていました。このような特集を見ると、お客様も騙されたくないという思いが強くなって、業者と会う際にはいつもよりも警戒してしまうことでしょう。

しかし、その警戒のせいで間違った駆け引きをされる方がいらっしゃいます。

工事の内容ではなく、値段だけで比べる。

比べた上で、安い値段の業者を選ぶのは仕方ありません。しかし中にはその安い値段と同じ金額で、弊社に工事をしてほしいという方がいらっしゃるのです。

これには、本当に困ってしまいます。

ついこの間も、大手ホームセンターさんで見積りを取って比べた上で、「塗装職人さんは高い、なので大手さんくらい安くしてください…」と言われたことがありました。

見積りは一見すると、同じ工事内容で値段に差があるように見えます。

しかし、実際は工事内容が全く違うのです。

なぜこうした交渉に弊社が困ってしまうのか、詳しくお話しいたしましょう。

下地剤だけでも浮彫りになる値段の差

例えば、外壁塗装の下地工事を取り上げて説明いたします。

下地剤は、「どの壁にもオールマイティで使える」と言われているものがあり、それを一括購入すれば塗装業者としても材料屋から割引を受けられますし、どの現場でも同じ下地剤を使用するので、職人も在庫を抱えずに済むためロスがありません。

お客様も値段が安く提供されるので、まさにWinWinと言えます。

ですが、実はこの下地剤…オールマイティではないのです。

外壁の種類によっては、「一応塗れるけどベストではない」というものも含まれています。

塗装工事において、一番大事なのは下地です。

下地をきちんと処理して正しい下地剤を塗っておかないと、上にいくら良い塗料を塗ったとしても効果はでません。

ここに、弊社と他社の値段の差があります。

弊社では、このオールマイティな下地は使いません。

そのため、割引もありませんし、職人は現場によって在庫をかかえます。だからこそ、そうした金額が見積りには含まれるのです。

さらにこの下地剤、外壁に合ったものをただ塗ればそれでいいかというと、そうではありません。

下地の塗り方にも出る値段の差

下地剤の塗り方にも、値段の差がでます。

塗料には膜厚という塗料を塗ったときに出る厚みに規定があり、これが守られていないと塗料の効果は発揮されません。

きちんと規定通りの希釈率で塗料を溶き、壁面に塗るのですが…ほとんどの場合ローラーが重くなり、塗るのにも時間がかかります。

しかし、規定の希釈率よりも薄く溶くだけで、塗料の使用缶数は減り、塗料の抵抗が低いためローラーで塗りやすく作業時間も短縮…。結果的に費用を安くすることが可能になります。

「そんな塗料を薄めて塗っていたら、すぐに気が付くのでは?」と多くのお客様が思うでしょう。

ところが仕上がった外壁の見た目は、薄く溶いたものも希釈率通りに溶いたものも同じに見えるのです。

工事の品質の差がわかるのは、工事が終わって数年後となります。

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耐久性に超重要な塗料缶数

同じ塗料を使っているのに、値段の差がある時はたいていからくりがあるものです。

しかし、見積書だけではこのからくりまでは分かりません。

ですので、お客様からすると「同じ塗料、同じ塗り方なのに値段が高いんじゃないか?他社さんと同じくらいに勉強してほしい」となってしまうのでしょう。

ですが、実際は工事の内容が全く違います。

塗装職人では、工事費用を過剰に上乗せすることはありません。

技術と工事内容に合った見積りで、職人たちがベストなパフォーマンスを引き出せる金額を提示しています。

見積書で比べるべき 工事の内容、職人の質とは
仕上がりからは見えない下地調整にも手間をかける

相見積もりで比べるのは『工事内容』

塗装職人では、相見積もりされる際には必ず値段ではなく『工事内容』で比べて頂ければ、どの業者にも負けないと自負しています。

どんな下地処理をするのか。問題点を解消するためにどんな手を打つのか。そのための下塗り、中塗り、上塗りはどんなものなのか…。

特に鉄部丸々の立駐機であれば下地処理の品質は最も目に見えにくい部分です。

補修工事だけでも、専門の大工がやるのか塗装の職人が応急処置的な簡易補修をするのかで値段は変わります。

大手の看板があると、企業としての良いイメージが先行するので、「大手が安く工事しているのだから他の会社も安くできるだろう」と思ってしまうのかもしれません。

でもそれは、大きな誤解です。

大手でも、町の小さな塗装屋さんでも、必ず費用に見合った工事内容になっています。

儲けなしに工事をする業者は、どこにもいないのです。

お客様が望む工事はどんなものですか?

もしも、その工事をやるために費用が足りない場合、弊社ではどこを優先して工事すべきかなどをお客様が悩む時、必ずサポートいたします。

工事をする上で何を取捨選択したらいいか悩まれた時は、頼ってください。

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ここまで、なぜ見積書の値段に差がでるのかについて、下地剤を例にあげて説明しました。

ここからは、僕が何度もいう…『見積書で比べるべきポイント』をさらに詳しくお話しいたしましょう。

また、立駐機の塗装工事を例にあげて、弊社のいう『工事内容』や『職人の質』とはどんなものなのかの説明致します。

見積書の作り方とは

すこし視点をかえて、見積書の作成の仕方についてお話いたします。

塗装職人では見積書を無料で作成するため、簡単なものだと思っていらっしゃる方もいらっしゃるようです。

塗装職人の見積書は、平米数や数字を打ち込めばパパっと出てくるものではありません。

現場調査で家の隅々まで拝見し、メーカーや職人に状態を相談して、打つことができる手立てを探します。

その中から、費用的にもバランスの取れた最適解を見つけ、本当にこの方法で不具合がでないか何度も確認を。さらにそのための下地準備はどのようなものが必要か、そして工程をどのように組めば一番スムーズに工事が進むかなど考えます。

また、この工事をするためにはどの職人チームが良いか、スケジュールを抑えることができるのかなど確認し、まるでパズルを組み上げるようにすべてのピースを埋めて、見積書を作り上げるのです。

だからこそ、お客様から見積書の依頼を受け、現調してからお時間を頂きます。

工事は人間がするものです。

工事への取り組み方、考え方、真面目さ、マナーなど、人間力が工事の内容を決めていきます。

是非、見積書を見る時に工事の内容を見てみて下さい。

すると、取り組みや技術がお分かりいただけると思います。

立駐機の塗装工事

ここからは、工事を支える人間力。『職人の質』について、実例を通してご説明したいと思います。

弊社の職人の質は、他社とどのようなところに違いがあるのでしょうか。

こちらはマンションなどにある、立駐機、いわゆる立体駐車場の塗装です。

今回塗装するのは屋内にあるタイプの立駐機でしたので、外で雨ざらしになっている立駐機と比べれば驚くほど状態の良いものでした。

この立駐機パレットを塗装します。

立駐機のパレット

どうしても雨が降っていると、室内といえど車を伝ってパレットのタイヤスペースに水が入り、錆びてしまうのです。

このパレットの錆びを予防するための塗装が、今回の工事となります。

立駐機のケレン

まずは、表面をスクレーパーや金たわしを使ってきれいに掃除した後、全体のケレン作業を。下地が付着しやすいように全体に浅く傷をつけるためにディスクサンダーでも表面を削ります。

この時、ディスクサンダーの電源をとるために、延長ブレーカーの取り付けが必要です。

延長ブレーカー
延長ブレーカー

延長ブレーカーは、大きな建物の場合必ず安全対策としてかかせません。

延長ブレーカーには、コンセントの途中に漏電遮断器があり、万が一分電盤のブレーカーが落ちてしまうおそれのある時には、この漏電遮断器部分で通電が遮断されます。マンション自体にある、元ブレーカーが落ちるのを防ぐのです。

立駐機の下塗り

安全対策をした上でディスクサンダーをパレット全体にかけ、下処理が澄んだらシンナー系の溶剤でパレットについた油を拭き取ります。それから下塗りです。

この職人チームは、下塗り剤にあえて赤色のものを使用しました。

赤いさび止めは、色として目立つためしっかりと膜厚を保って中塗り、上塗りをしないと下の赤色が透けてしまいます。

お客様にとっては、赤色が見えれば膜厚が足りていないことが一目でわかりますので分かりやすいのですが、普通は上塗り剤と同じ色のものを使用するものです。

(班によっては上塗り剤の缶数で考えます)

というのも、そもそも見分けるだけであれば、濡れている状態と乾いている状態では塗料の色が変わるため、赤色にせずとも塗り残しなどおおまかには見分けることができるからです。

しかし、あえてこのチームは自分たちの仕事に厳しくするために、この赤色を選びました。

もちろん、赤色を塗っても上塗りと同じ色のものを塗っても、彼らの工賃が変わるわけではありません。

より正確で、錆と戦う隙のない塗装をするために。このチームが選んだ方法です。

立駐機の塗装
立駐機の塗装

『職人の質』の差

職人がここまでこだわりを持てるのは、きちんとした工事への対価が支払われているからです。

もちろん、きちんと対価が払われていても普通の工事だけをする職人もいますので、対価が払われればクオリティの高い工事がなされるか…というとそうではありません。

ここが、僕や塗装職人の営業が真摯に職人たちと付き合い養ってきた関係性、人間力がものを言うところです。

これもまた、僕たちスタッフの給料が最低ラインのものであれば、時間や手間を割いて職人たちと頭を突き合わせることはできません。

併せて観たいYouTube 立駐機の塗装

見積書の値段に現れる工事の質

今回は、なぜ弊社の見積金額を安い金額を提示する他社と同じにすることができないかについて、ご説明いたしました。

実例にあげた工事も、たかが下塗りの工事ですが、職人の真剣な工事への想いがわかる工事だったと思います。

是非とも、見積りを比べる際には費用ではなく、工事の内容、そして工事を担当する職人の技術や質、この工事へかける思いで比べてみて下さい。

お見積りをお持ちする際には、どのような工事をして最終的にどんな状態を目指すかなど、つぶさにお話いたします。

今回のブログを通して、すこしでも見積書の見方、相見積もりの比べ方がお分かりいただけましたら幸いです。

次回はこの立駐機塗装工事の続きです。

赤い下地がどのように仕上がったのか、是非ご覧ください。

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